小説

【書評】恩田陸のチョコレートコスモスは、将来残り続ける至高の一冊だ【レビュー】

 

しなー

どうも、しなー(@gareimeguri)です。

 

チョコレートコスモスという作品があります。

ノスタルジアの魔術師とも称されるという恩田陸さんの作品で、各方面からの評価がすこぶる高い一冊なんですが……

これがマジで面白いんだわ。

感動しすぎてもはや泣いちゃったもんね、僕。

悲しい系とか、悲惨な物語じゃない小説を読んで号泣したのは本当にこれが初めてかもしれない。

久々に時間と周囲を忘れて没入できる名作に巡り合いました。同居人には感謝しかない。

今回はそんな名作であるチョコレートコスモスを皆様にも布教するべく、紹介させてもらおうと思います!

 

https://www.nicokira.com/20171217media/

 

チョコレートコスモスのあらすじ

芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを──。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう! 興奮と感動の演劇ロマン。

僕なりのあらすじ

結構この作品のあらすじをまとめるのって難しいんですよね。

結構な物語の容量もあるし、見方によっては主人公が何人も出てきますし、見所が死ぬほどあるので、一言でまとめるのが非常に難しい。

ですがあえて一言で表すとするなら、

「演劇の奥深さをありありと描いた、二人の天才による”才能”の物語」

それがこのチョコレートコスモスという物語でしょうか。

チョコレートコスモスの見どころ

この作品で僕が特にオススメしたい所。

それが作中で行われる”最終オーディション”の場面になります。

唯一無二の、とある舞台

この物語は天才達が、とある一つの舞台を奪い合う物語ともまとめることが出来ます。

著名な監督である芹澤が主催するという、とある一つの舞台があります。

脚本を書く人間も、演者も殆どが不明の、謎の舞台。

わかっていることはたった二つだけ。

演じるのは二人の女性であり、その舞台には何にも代えがたい”役者としての栄光”があるということ。

この作品は、この舞台をめぐって争う女性たちの物語なのです。

この物語が描くは、”選ばれる”ことの残酷さ

この作品に出てくる人たちは基本的に一流も一流の人達ばかり。

一流の女優として名を残すベテラン女優に、映画で主演女優賞を獲得するような抜きんでた才能を持つ美女。

駆け出しながらも並々ならぬ才能を持つことが示唆されているアイドルに、人の模倣をすることの天才など、その才能は非凡という言葉では表しきれないものを持つ者達ばかりです。

簡単に言うと凡人には届き得ぬ高みにいる、圧倒的な強者。

一般人が喉から手が出るほど欲しいような、そんな名誉と才能を、並々ならぬ努力で獲得している天上の人達。

並みいる凡庸な才能を押しのけて余りある才能を持つそんな彼女たちが、たった二つしかない、”才能”だけでは超えることのできない”とある舞台”を争いあう。

最高峰にいる才能が、より高みにいる才能と争い、敗退する。

この作品は”選ばれる”という残酷さを描き切った名作でもあるのです。

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特に印象に残ったシーン

個人的に本当に見てほしいのが最終オーディションの場面。

先ほど言った選ばれる残酷さを書いた部分でもあるんですが、そのシーンがとにかく熱い。

ページの大体1/4ぐらいを使って描かれるんですが、マジでページをめくる指が止まらなくなります。

読んだ方ならわかると思いますが、文字を読んでいるはずなのに、僕らの目の前には”ヒナギク”が現れます。

鮮やかな黄色の色をした、ヒナギクが。

そしてそれに触れた東響子の顔が、文字を通してまざまざと現れてくるのです。

選ばれた存在達による、最終オーディション

選ばれた才能を持つ4人が、決戦の舞台である最終オーディションに参加します。

ここでは「主役が演じる演技に合わせて、その主演の心の声を演じる」ということが求められます。

主演の演技に飲まれず、上手く演技を合わせながらも、自分の存在を高らかに主張する……。

そんなハードルの高すぎる演技が求められるのが最終オーディション。

そしてその相手役の主演を演じるのは東響子という、超一流の若手女優。

その年齢の女優の中では最も評価され、努力する強さも才能も、誰もが羨むそれを持ちながら、そのオーディションには選ばれなかった少女。

そして、その東響子こそがこの物語の主人公なのです。

手が、ヒナギクに触れる

東響子はそこで圧倒的な演技を見せつけます。

もはやその演技は、圧巻では言い表せない程のものでした。

見るものを魅了し、引きずり込み、貪りつくす程の圧倒的過ぎる演技。

その名声に恥じないどころか、その名声が恥じらう程の演技を東響子は見せつけるのです。

響子はオーディションに出る4人の相手をしなければならないので、普通ならその演技の質は疲れとともに落ちていくのですが、ここにおいてやはり東響子は天才でした。

回数を重ねるごとに自分の演技が研ぎ澄まされ、洗練されていき、次第に自分の演技力が何かに到達しそうな感覚に溢れてきて……。

そして3人目の参加者である自分の親友である少女と演じている時、彼女は覚醒します。

手が、ヒナギクに触れたのです。

演技をしているだけだった筈なのに、そのお芝居の中に出てくるだけの空想のヒナギクに、彼女は確かに触れたのです。

この瞬間、僕は涙を流しそうなほど心が高まりました。

まるで僕がその場面にいたかのような、僕がその演技をしている東響子をみていたかのような、そんな情景がバッと頭の中に浮かんだのです。

ヒナギクに触れた東響子が、そして黄色い鮮やかな色をしたヒナギクが、確かに僕の目の前にも現れました。

感動で涙が出て来るほどの圧巻さ

そのシーンとその続きのシーンをみて、僕は知らず涙を流してました。

ぶっちゃけこのシーンって欠片も悲しくないんですよ。

ABで皆が卒業していくような悲しいシーンでもなければ、リトバスで恭介が涙を流すような不意打ちもない。

悲しみも苦しみもなんもない、ただただ感動するだけのシーンなんですが、僕は自然と泣いてました。

感涙って、まさにこの時に使う言葉なんでしょう。

感動が溢れすぎて、行き場のなくなった感情が涙として出てきたというかなんというか。

本当にこの瞬間は感情が溢れてどうしようもなくなりました。

小説を読んでいて、単純な”熱い”系統の感動で涙を流したのは本当にこれが初めてでした。

それだけの感動を味わうことが出来るのがこのシーン。

そして、チョコレートコスモスという作品なのです。

是非この最終オーディションの部分を見てほしい。

多分、あなたの目の前にはヒナギクが確かに表れるはずですから。

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こんな人にチョコレートコスモスはオススメ!

  • ”熱い”物語が好きな方
  • 感動できる物語が好きな方
  • 才能というものに悩んでいる方
  • 舞台に関わったことがある方
  • ガラスの仮面が好きな方

にこの作品はおススメです。

特に舞台に関わったことがある人はより一層感動するのではないでしょうか?

そしてこの作品は単純にめちゃめちゃ”熱い”ので、熱い物語が好きな方には心底オススメできます。

小説ではなくて恐縮ですが、もしこのあたりの作品が嫌いじゃない!って方は間違いなく気に入ると思います。

https://www.nicokira.com/20180827animation/

後ガラスの仮面のオマージュらしいので、ガラスの仮面が好きな人も気に入るらしいです。

ガラスの仮面見てみようかしら。

まとめ

僕が読んだ小説の中でもトップ5に間違いなく入る一作であるチョコレートコスモスの書評になりましたが、いかがだったでしょうか。

僕はこの作品の書評書きながら正直泣きそうになってました。やべぇよこの作品はほんとに。

才能の残酷さを描きながらも、とてつもなく胸が熱くなる名作なので、暇な方はほんとに読んでみてください。

多分、あなたもヒナギクに触れられると思います。

さて、長くなりましたが今回はこのあたりで失礼をば!

稀代の名作、チョコレートコスモス。

是非読んでみてください!

ニコ&キラ

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