小説

【送り火】これが芥川賞受賞……?芥川賞受賞作「送り火」が意味不明すぎたのでレビューしてみる【正直微妙】

 

どうしたの芥川賞……?

 

しなー

どうも、しなーです!

 

又吉程インパクトがなく、日本を震撼させてもいない芥川賞ですが、今年の7月受賞者が決定いたしました

それが高橋弘希先生の「送り火」。

中学生の田舎での生活を描いた一作になります。

ラノベとかばかり読んで純文学にはほっとんど触れていなかったので、今回純文学に触れてみようかなーと思い読んでみたんですが、

 

ぶっちゃけ良く分からなかった。

 

これが純文学なのか……?めっちゃ置いてけぼり喰らったんだけれども……。

分かったことと言えば

「なるほどー。芥川賞を選定している方々は僕と全く違う評価基準を身に付けているんだろうなー」

ということぐらい。

絶対僕なら選ばないよね。つうか予選の段階で絶対に落とすもん。間違いなく。

ちょっと今回は辛口にはなりますが、レビューの方していこうと思います。

https://www.nicokira.com/20171217media/
 

芥川賞受賞作「送り火」のあらすじ


自然は沈黙し、少年たちは血の遊戯に熱狂する

東京から山間の町に引越した中学三年生の歩。
うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは。

あらすじ短いなおい(笑)

でも内容は本当にこのぐらいで纏められます。

この作品にテーマがあるとすればそれは

  • 虐め
  • 田舎であるが故の束縛

辺りでしょう。

私なりにあらすじをまとめると、


本当に都会の喧騒とは全くもって関係がないド田舎に越してきた主人公。

そこでは都会にはない緩やかな時間が流れており、都会のように時間に縛られた苦しい世界などではなく、開放的な、自由な空間が広がっているかのように見えた。

主人公もクラスに上手く溶け込むことができ、順調に日々は進んでいく。

しかしながら、田舎には田舎民にしかわからない閉塞感が存在した。

それを晴らすための手法として用いられたのが、暴力。”遊び”という名前で真実を隠された、残酷な憂さ晴らしであった。

それに主人公は気が付くことが出来ず、送り火を迎えたのだった。

といった所でしょうか。結構上手にまとめられた気がする(笑)

「送り火」に対する僕の評価

送り火を僕的に評価すると、

5点満点中、2点未満といったところです。

正直1点でもいいかもしれない。

ぶっちゃけ全然面白くなかった。

確かに、描写は素晴らしいと思いました。

田舎の風景が目の前に感じられるような丁寧な描写に、各所からにじみ出る豊富な語彙力は流石といったところ。

……何度辞書を引いたことか。

特に自然の描写は美しかったと思います。時折頭の中で想像して、みどりの匂いを感じてしまうほどでした。

描写が良い。テンポがいいので文章も非常に読みやすい。その点に関しては私如きが指摘できる所がございませんでした。

難読漢字を無駄に多用していることは玉に瑕でしたが。

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不明なテーマ性

しかし、肝心の物語が本当に酷過ぎました。

一言でいえば、テーマ性とオチが良く分からない。

先に僕が述べた

  • 虐め
  • 田舎であるが故の束縛

がテーマなんでしょうが、それも正直曖昧。

テーマってオチまで読んでみて、

 

しなー

成程。やっぱり作者はこれを述べたかったのね。

 

と理解するものだと思ってるんですが、

オチが全くないので、何も響くテーマが無いんですよね。

多分今作品が描きたいこと

恐らくですよ。

恐らくこの作品が言いたいのは、

田舎であるが故に娯楽も何もなく、は行き場を失ってしまった若者たちのエネルギーの解消方法が暴力になってしまっている恐怖

でしょうか。

田舎は開放的で自由なイメージがありますが、その実、全くそんなことはありません。

その田舎にはホントに何もなく、しかし生きるための要件は全て整っている……。

食料も十分にあり、インフラもある。

でも、娯楽は何もない。欲を発散する所が一切ないわけです。

そして若者達は遊びたいざかりの年頃であり、そのエネルギーを向ける先が田舎には存在しません。

ではそのエネルギーは一体何処に向くのか―――。

それは単純明快。

お察しの通り、暴力です。

大体抑圧されたエネルギーなんてものは性か暴力に向くわけですからね。

そして今回は完全に後者。

なんの娯楽もない田舎で、若者たちが楽しめる方法が、暴力だった。そういうことなのでしょう。

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マジで意味不明な展開

ちょっと順を追って説明していこうかと思います。

①主人公は親の都合で田舎に転校してくる

まず前提として、主人公は転校生になります。都会に生きていたけど、親の都合で転勤を……という形。

世渡りが下手じゃない主人公は、うまい感じで男六人のグループに溶け込むことに成功します。

そのグループでは主従がはっきりしており、虐める奴と虐められる奴がはっきり分かれています。

晃というリーダー格の男が虐めっ子。稔という気弱な少年がいじめられっ子。

そして主人公は参謀的な位置に居ました。ある程度一目置かれていて、攻撃の対象にはならないけど、攻撃にも積極的に加担しないという位置ですね。

稔は晃に頭割られてますし、何度もパシリに行かされてますし、多分読んでると「うわ……中々エグイなこれ」と感じるくらいのことをやられてます。

②奇妙な稔と晃の関係が掴めない中盤

とはいえ、晃と稔はそんなに仲が悪くない?ようです。

二人で行動することもありますし、なんか知らんですが主人公の家に二人できたこともありますしね。

そして何より意味が分からないのが、

稔が他の奴ら(主人公以外のメンバー)に虐められそうになると、晃が全力で割って入ってガチギレする

というもの。

いやお前なんやねんって作中思うんですが、まぁオチに繋がって来るんだろうなとか思って見てるわけですよ、読者としては。

でもぶっちゃけ何の説明もなかったよね。

③やべえ先輩方が襲来して、平穏は崩れる

なんだかんだ主人公は上手くこの集団の中でやっていました。

夏休みもちょくちょくメンバーと会って談笑したりなど、全く人間関係に問題は無さげな感じだったのですが……。

やべぇ先輩方が襲来します。

ちょい年上でガタイも良く、逆らったらすぐ暴力が飛んでくる、一生関わらなくていいタイプの人間たちです。

そしてこいつらを楽しませるための遊びに参加させられるのですが、それがこれまたエグイこと。

後ろ手に手を縛られた状態で、ボールに飛び乗るっていう、結構シャレにならない遊びをさせられるという

下手すりゃ普通に死ぬそれを、主人公たちに強制してきます。

そして、その標的に偶然稔が選ばれます。

④何故か急に稔に襲われる主人公

両目を腫らし、出血までしているというのにその遊びを続けさせる先輩方。

しかし、その遊びは唐突に中断されます。

なんと稔、隠し持っていたナイフで先輩をぶっ刺しやがったのです。

そこからは暴れまくり、先輩方もやべぇぞこいつ……!!!

ってなってビビり始めます。

そしてちゃっかり逃げ出す晃。

おい虐めっ子、お前何逃げてるんだよ、って感じで主人公があきれたところで、

何故か稔が主人公に襲い掛かります。前振りはゼロです。ホントにいきなり襲い掛かります。

しなー

あちゃー。錯乱したんだろうなー。

 

とか思って読んでいると主人公も同じことを思ったらしく、

「お前が恨んでるやつあっち!今逃げた奴だろ!」

と主張しますが、

「俺はお前が元々気に入らなかったんだ!」と稔が声高らかに叫び、攻撃の標的は完全に主人公に。

これには私( ゚д゚)こんな顔になってしまいました。

え?いきなり主人公に全ヘイトが向いてる……?

指の骨が露出する程に切り刻まれ、足にもナイフをぶっ刺されます。

え?なして?なんで主人公がこんなやられてんの???なんで???

⑤逃げ出す主人公。そして送り火に遭遇する

足をやられ碌に動けない状態ながらも、なんとか逃げ切る主人公。しかし痛みと疲労も相まってか、途中で意識を手放してしまいます。

そして目を覚ますと、川辺に居ました。感じるのは冷たい水の感覚のみ。

重い瞼をようやっと開けて対岸を見ると、そこでは送り火が行われていました。

まるで血で染められたかのように赤く染まる川辺。燃え盛る炎が主人公の目に映ります。

そこでは3体の人型に燃え盛る火をくべ、燃やしていました。

主人公にとってそれはただ藁人形を燃やしているようには見えず。まるで、本物の人間を燃やしているような―――

⑥終わり

 

……。

……。

 

( ゚д゚)????

 

あら、終わり?ここから先はどうなるの?

そう思ってページをめくるのですが、表示されるのはクレジットのみ

どうやらマジで終わったらしいです。

……終わりなの?なんで????

稔と晃の具体的な関係の描写は???

この先輩方なんで登場したの???

つうかなんで主人公稔にいきなり襲われたの???

え???どういうこと???

なんの謎の回収もしてないじゃん???

ってなりましたが、終わりました。終わったのです

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本当に謎展開のまま終わる本作

今までのフラグや伏線については本当に一切説明も、回収もありませんでした。

ホントにただの暴力描写と田舎描写で終わったんですけど……。

え?これ、何を楽しめばよかったの……?楽しめる要素あったの……?

持論ですが、小説っていうのは物語を楽しむものだと思ってます。

描写の美しさも、豊富な語彙も、全ては物語の楽しさを盛り上げるためにある訳であって、それがメインに据えられることは言語道断だと思っております。

美しい文章が読みたいなら詩を読めばいいわけで、決してメインであってはならない訳ですが……。

この作品はその言語道断を突っ走っているんですよね……。

この作品の展開、物語性を本当に面白いと思っている人はマジでちょっと頭が逝ってる気がする。

この作品は

ただの暴力描写を、送り火という儀式に無理やり絡めて、美しい文章でまとめただけ

のように本気で思います。

※ちなみにですが、オチで裏切られるまでは面白いです。

Amazonの高評価レビューに突っ込んでみる

とはいえ。レビューで☆5をぶち込む方々もいるわけです。

なので、今回はそんな不思議な方々に突っ込みを入れてみようと思います。

高評価レビュー①


津軽の山あいの描写は美しく、学校内での友人間におけるできごとも緊張感があって読ませる。途中から先がみえなくなったが、ラストの畳み込むような迫力には圧倒された。さすが芥川賞受賞作。

友人間の緊張感や、ラストの畳みこむような迫力は確かにありました。結構緊迫感あったのは事実ですし。

ただ、畳み込むは畳み込むでも、フラグや謎まで全部一気に畳み込んでしまったので、

「本当に何が言いたかったの???」

ってならなかったのでしょうかこの人。

自分で「途中から先が見えなくなった」とか書いてるじゃん。

でも☆5らしいよ!

高評価レビュー②


農村の豊潤な自然、土着の風習や信仰等が醸し出す雰囲気が印象的です。
田舎ならではの温かみがある一方で、閉塞感も強い。
少年たちの若さが、閉ざされた世界で行き場をなくしているように感じられます。

「干魃も、水害も、虫害もない。もう飢饉は起こらない。」
生き抜くための強さが、闘う相手を無くした時、凄まじい破壊の衝動へと変容してしまったのかもしれません。
爛熟した生のエネルギーをもて余している若者たちには、「サーカス」が必要だったのです。

標的となった少年が最も憎んだのは、いつでも安全地帯に帰ることのできるよそ者
だったに違いありません。

美しい自然と風土の味わいのなかに、陰惨な結末を予感させる描写が散りばめられています。

前回の受賞作「百年泥」は爽やかでしたが、本作は重いです。
しかし、読み終えて見ると、暴力シーンよりも、自然の美しさ、おやつを出してくれた独り暮らしのおばあちゃん、などの方が心に残るから不思議です。

「百年泥」に続き、本作も傑出した作品だと思いました。

成程。成程。分からなくはない。

解釈としては私も一緒です。

でもね、そんな描写、良く読み解いて理解しようとでもしなきゃわからないし、そもそもそんなにされてないし。

そしてそうだからと言ってそれが面白いわけじゃないし。ぶっちゃけありきたりだし。

必死に読み解いて読み解いて、その結果わかるのがその程度のことな訳です。

いや、ありきたりだよね……ってことを懇切丁寧に描写してくれているだけなわけです。

それにこの人は楽しみを感じてくれてたらしいですが、私には理解不能だ……。

高評価レビュー③


『送り火』(高橋弘希著、文藝春秋)には、理不尽な虐め、不条理な暴力が充満していて、この作品で著者はいったい何を言いたいのかと読者を混乱させることに見事に成功しています。

父親の転勤で東京から津軽の山間部の中学校に転校してきた3年生の歩(あゆむ)は、徐々に新しい環境――長閑な田園風景や穏やかな日常生活に馴染んでいきます。

この中学校は、3年生は、歩を含めて男子は6名、女子は6名しかおらず、来春には廃校になることが決まっています。男子は、学校でも学校外でも常に6名で行動を共にしており、歩は、リーダーの晃が気の弱い稔を事ある毎に虐めの標的としていることに気づきます。しかし、中学を卒業したら埼玉の高校に進学しようと考えている歩は、眉は顰めても、何らかの行動を起こすには至りません。「面倒はご免だ。自分は残り少ない中学生活を平穏に過ごし、何事もなくこの土地から離れていきたい。高校に入学して半年もすれば、どうせ彼らも(自分のような)渡り鳥のことなど忘れてしまうのだ」。

歩のこういう姿勢が伏線となって、物語の最後の最後になって、信じられない意外な事が起こり、あまりの凄惨さに息を呑むことになります。

この著者の作品は初めて手にしたが、これから先、高橋弘希は目の離せない作家となりました。

いや、混乱させちゃだめだろ……。

何が言いたいのかぐらいはハッキリしてなきゃダメだろ……。

凄惨さに息をのむのは良いんですが、最後の方のシーンとか凄惨さしか無かったじゃん……。

起承転結の結がどこにもないんだよ……。それって物語としてありなの……?

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まとめ

ぶっちゃけ僕には

・純文学の素養が殆ど無く

・芥川賞を選定した方々程の教養もない

ので、この作品の面白さを100%理解しきれていないのかもしれません。というより多分そうなのでしょう。

だからこの本の「読み方」があるのであれば、是非ご教授いただきたい。

ただね。

世の中に居る大半の方々、特に私のような感性を持つ若者たちにとってこの作品はぶっちゃけ響かないと思います。

何故賞に選ばれたのか本当にわからない。

正直に言ってつまらなかったです。

終わり良ければ総て良し、という言葉がありますが、この作品は真逆。

終わり悪けりゃ総て悪し。

この言葉を僕は送りたいと思います。

さて、今回のレビューいかがだったでしょうか。

買うのはご自由ですが、是非後悔なさりませんように。

POSTED COMMENT

  1. ムーミンママ より:

    確かに読後、嫌な気分になり何か気分転換を計らないと、ずっと重い空気をひきずりそうです。
    この本を早く見えないところへ追いやってしまわねば。メンタルが殺られる。
    学んだ事は、いしめの連鎖は、おっかねえ、矛先が何処に飛んでくるか分からない。
    人に恨まれることは、したくない。平和に暮らしたい。だから、私は人の良いところを探して接する様にしている。腹立っても、一つ位、尊敬できる所はあるもんだ。

    思い出せば高校時代。進学校だがヤンキー仲間を引き連れボス的存在の男子は、いつも誰かを標的にしていじめていた。
    そして最後の文化祭で高揚感がそうさせたのか
    誰かがボスに殴りかかり、加勢する男子が何重人にもなりドーナツ状になり竜巻のようにふくれあがりボスは見えなくなった。その頃は誰も味方に付くものが無く、一人になったところを襲撃したのだ。
    偶然、私の目の前で、校内の廊下で始まった。スゴい轟音がした。相当、多数から恨まれていたんだな。
    女子の私も、アイツから被害を受けていたので、よってたかって可哀想だが、いい気味でもあった。因果応報。その後ボスは大人しくなり平和が訪れ、県外に進学して地元を離れた。
    私に酷いことをして申し訳なかったと知人から聞かされた。
    これも青森の話です。

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